かがみの孤城伝えたいことは?最後のメッセージの意味も考察!
『かがみの孤城』は累計200万部を超える辻村深月のベストセラー小説です。
2018年には史上最多得票数で本屋大賞も受賞しています。
大人気作品なので、その後、オーディオブックや漫画、舞台、映画と多くのかたちで紹介された作品です。
この作品は、学校を舞台にした小説になっていて誰かの城のような居場所になる作品にしたいという作者の思いが入っているといいます。
そして、タイトルにある「孤城」とは「敵に囲まれてみうごきがとれなくなっている城」を表します。
さまざまな困難をかかえた登場人物たちの状況を「孤城」という言葉で感じることができるのではないでしょうか。
登場人物に共感し、考えさせられる作品である『かがみの孤城』ですが、私たちに伝えたいことは何でしょう。
作品の最後に出てくる「最後のメッセージ」の意味も話題になっていますがどんな内容か考察できそうです。
この記事では、この作品で伝えたいこととは何か、最後のメッセージの意味は何か、考察したいと思います。
Contents
かがみの孤城伝えたいことは?
この作品は近年問題になっている学校でのいじめや不登校を取り上げた作品でもあります。
登場人物それぞれがいじめや不登校の問題、友達関係や大人とのコミュニケーションの取り方など不安を抱えています。
毎日の生活の中で生きづらさを感じているひとにとって、何か突破口になるような考え方に触れることができるのが魅力なのではないでしょうか。
この作品で伝えたいことは次にあげる内容だと考えます。
- 自分とは違う価値観がある
- 自分の世界だけが全てではない
- ひとりぼっちではない
それぞれ内容を見ていきましょう。
自分とは違う価値観がある
自分の問題と向き合っている間は、自分の価値観でいっぱいになっていた主人公ですが、友達と少しずつ距離が縮まったことで自分の話をしたり相手の話を聞くことが増えていきました。
そうすると、年齢が近い友達であっても自分とは違う価値観があることに気がつきます。
状況や悩みもひとそれぞれ、自分以外の考え方に触れたのです。
そして、大人であっても信頼できる人はいて自分の価値観を理解してくれる大人がいることを認識できたのです。
そして、人それぞれ悩みをかかえているけれど、価値観の違いを理解してから自分の悩みをかんがえてみると、もしかしたら自分の悩みはとても小さいものかもしれないと思うようになりました。
価値観の違いを理解することが自分以外の人のことを考えるきっかけになったわけです。
普段の生活の中で自分の価値観にとらわれすぎてきませんか?
そんな時は自分とは違う価値観に触れることを意識して、違う視点をもつことを心掛けると視野がぐっと広がるかもしれませんね。
自分の世界だけが全てではない
思いもよらない理由から突然いじめがはじまり、学校に居場所がなくなってしまった主人公。
相談したかった友達も前とは違いよそよそしい態度になってしまいました。
もう誰にも相談することができなくなってしまったのです。
そのうちいじめはエスカレートし、学校以外でも嫌がらせをされてしまいます。
そして同じ学校のジャージを着た生徒をみるだけでも気持ちが落ち込むほど追い込まれていきます。
そのうち不登校になりほとんど外に出ることもなくなりました。
自宅にこもり全てが嫌になってしまいます。
学校に行くことが全てだと考えていた主人公は、学校にいけない自分はダメだと思ってしまったんですね。
友達にも家族にも相談できず、自分の部屋で過ごす毎日になってしまいました。
でもこの作品では、無理にがんばる必要もないし嫌な場所から逃げることは自分を守るために戦っていること、つまり不登校を選んだ主人公は勇気ある行動をとったのだと言っています。
誰でも自分の行動を選択する権利があり、自分の居場所を見つけることの大切さを教えてくれています。
不登校によって自分の部屋に居場所をつくった主人公は、逃げる勇気を出したからこそ自分を守ることができたのです。
学校以外にも居場所はあるから忘れないで、そんなメッセージが込められています。
あなたも自分だけの世界になっていませんか?
知らない世界を知ると楽になることもあると教えてくれています。
他にも自分が生きる世界があることを忘れないでくださいね。
ひとりぼっちではない
現実世界では理不尽ないじめが始まって、仲がいいと思っていた友達とも疎遠になって、主人公は自分はひとりぼっちだと思ってました。
そんな時に出会ったのが鏡の中の仲間たちです。
一緒に過ごす時間が長くなるにつれ次第に親しくなり、城の中では徐々に居心地のいい幸せな時間を過ごせるようになりました。
自分の事も少しづつ話せるようになった主人公は自分の話をすることで気持ちが少しだけ落ち着くことに気がつきます。
信頼できそうな大人にも自分の話をしてもいいかもしれないと思えるようになりました。
正直に話すことができなかった一番身近な母親にも自分の気持ちを話そうと思い、自分の気持ちを正直に話すことにしました。
どうして学校へ行くことができなかったのか、母親を信じて話すことにしたのです。
その結果、母親も主人公の気持ちを理解し、味方になってくれました。
この出来事は主人公の考え方を変えるくらい大きな出来事でした。
自分の気持ちを自分以外の誰かに話すことは、とても勇気のいることかもしれません。
しかし、少し勇気を出して誰かに打ち明けることで救われることもたくさんあるはずです。
「つらいときは誰かに助けを求めても大丈夫」
このメッセージも忘れないでほしいですね。
かがみの孤城最後のメッセージの意味も考察!
作品の最後に中村隆さんにむけたメッセージが流れました。
中村隆さんはこの作品で美術監督をされた方です。
しかし中村隆さんは作品が公開される前の2021年6月2日に亡くなりました。
これまでも原恵一監督のいくつもの作品に美術監督として関わっていた中村隆さん。
亡くなる少し前まで『かがみの孤城』について話をしていたそうで、原恵一監督は古くからの仲間ということもあり、とてもショックをうけていたそうです。
作品の制作中であったため、絵コンテが書けなくなるなどの苦難もあったそうです。
それでもなんとか中村隆さんのために作品を作りあげました。
中村隆さんへ作り上げた作品について何か伝えたくてエンディングでの追悼コメントになったようです。
まとめ
『かがみの孤城』で伝えたいことはいくつかあります。
- 自分とは違う価値観がある
- 自分の世界だけが全てではない
- ひとりぼっちではない
学校という集団の中で生活していると、そんなつもりでなくても友達を傷つけていたり、逆に傷つけられたりすることがあります。
そこにしか居場所がないと思ってしまうと、思い悩み、自分を閉ざしてしまいがちですが、自分とは違う価値観に触れて共感したり学んだりして違う世界を知ることも大切なんだと感じました。
いつでも助けてくれる人がいて、ひとりではないことを忘れてはいけないです。
そして最後のメッセージの意味についてです。
- 原恵一監督が美術監督の中村隆さんにむけて送った追悼
- 最後の作品が仕上がった報告
- 今までの感謝の気持ち
最後のメッセージから考察すると、失意にあった原監督が渾身の力を振り絞り作り上げた作品を中村隆さんに届けたかったのでしょう。
今回は『かがみの孤城』の伝えたいことを調査、最後のメッセージの意味も考察してみました。